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2025年05月08日
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あかいかぜ

2007年12月06日
どうして俺はここにいるんだろうか。



目の前に広がるのはあかい海





「おはよー」
「はよー」

朝、さわやかな若者の声。
空には輝く太陽。

そして目の前には…

「………何」




「いえ、なんでもございません…」




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最後のレモンキャンディー

2007年02月16日

ちいさな ちいさな 欠片。
あなたにあげる、その切ない味。

 

少女はふと黄色い綺麗な飴玉に目を奪われた。
瓶にたくさん詰められたそれは、宝石のようで、しばらく眺めていた。

「おじょうちゃん、ほしいの?」
「知らないおじさんにはついていっちゃダメって言われたアル」

後ろから降ってきたその声に冷たい言葉で彼女は返した。
神楽、知らないなんてひどくない?

性別不明体育教師

2006年11月25日

土方は体育にあまり燃えるほうじゃない。
むしろ気だるい授業の一つである。
右隣に立つ豪気な男は今日も頑張るぞ!と息巻いている。
そして、左隣の栗色の少年は別のことで熱を燃やしている。
(今土方死ねとか言わなかったか?お前が死ね)
はぁ、とため息をつくと土方は体育教師に目を向けた。
ひげ面の顔に厚化粧を派手なカツラをかぶっている大男。
鬼の体育教師西郷。
化け物である。
土方は正直、この体育教師が好きではない。


「おらぁあ!気合入れろやァ!!」
「こわぃいいい!この人恐いんですけどォ!」
この軟弱な声の持ち主は我等が担任の坂田銀八。
なぜ、体育の授業に国語担当のこの教師がいるのかはわからない。
しかし、このクラスメイト達はそういう細かい所に気を向けないクラスだ。
(一部気を使いすぎて保健室に行ったり、退学届けとかをだす奴もいるが)
今の現状を取り囲んで素直に眺めている。
(むしろ面白がっているといった方が正しいか)

「土方、なんで銀ちゃんいるカ?」
「俺に聞くな」
神楽が土方の前に立ち、銀八と西郷に指をさした。

「ちょ、まじで?なんで?俺あんたのガキと遊んだだけじゃん!世話してやったんじゃん!」
「嘘つくんじゃねぇ!お前てる彦へんなホテル街連れてかれたとか言ってたぞ!」
「うるせぇな世話してやったんだからおネェさん釣る道具くらいなってくれたっていいじゃん!ほんとありがたかったよ!いろんなおネェさんがかわいい~あなたいくつ?って俺?俺25過ぎちゃったよ~もうっあなたじゃなくってこの小さなぼうやよぉ!ああそっかぁあははははって…」
「てめぇえええええ!んな都合いい事あるわけあるかァ!っていうか、それほんとか?今度やろうじゃなくってまじブッコロス!」

どうやら、銀八が西郷の息子を変な所に連れて行ったことが原因らしい。
(ていうか、銀八もそういうところ行くんだなぁ…)
土方はぼぉっとその成り行きを見守っていた。
(多分通りがかっただけとかそんなんだろうけど…)
(いや、まさか子供を餌にして女達を呼び寄せるなんてことしてないし、女達はそんな簡単じゃないだろう…)
(だけど)
(だけど)

「土方さん?どうしたんですかぃ?」
「……え?」
考えにふけっていて周りが見えていなかった。
ふと目の前を見ると、馬乗りで西郷が銀八に殴りかかる所だった。
「あ。」



わおおお

2006年10月14日

一番はずっと変わらない。
変わらない。動かない。俺のランキング。

二番目は、ウチの子供たち。
それからババアとか、長谷川さんとかがいて最後は俺。

「てめぇ…またスクーターでつっこんだのかよ」
「いいじゃない~今度はちょっと接触しただけで~」
「そのちょっとで なんっで俺ら真選組が出張んなきゃなんねーんだ?!ぁあ?!」

顔  ちかい、ってば。

「土方くんってば頭かったいなあ…こんな事情聴取ちゃちゃ~て終わらせちゃおうよ」
俺はぐてりと、机になだれるようにつっぷして上目使い攻撃。
「俺も早く帰りてぇ。大体なんで誰もいねぇの?!副長だぞおれは!」
……なんて攻撃効くわけもなくて、俺はそのまま狸寝入りを決め込む事にした。
すると、じぃと視線を感じた。
ぁあもう。熱いよ。

「ねぇ、そんなに見つめて…俺自惚れちゃうよ?」
「! 見つめてなんてねぇ!」
無いって…君さっきはあんなに熱視線送っておいて。
ぐ、と君の腕をつかんで、俺は離れた君を引き寄せる。
「好き」
「!」
「すきだよ ひじかた…」
人生で2回目の告白。
ねぇ、君はなんでそんなに顔を歪ませるの?
たばこ、吸わないの?

その原因が自分だと思うだけで顔の筋肉がゆるむ。
たまらないよ。ねぇ…
「世界で一番すき。」
俺は土方の手の甲にキスを落としてゆく。

「~~~~~~ッ!!!!!!!!!!」
机の下にすらりと伸びているであろう君の足が俺を蹴った。
しかし、顔は真っ赤で俯いて、いちいち俺のキスに反応しているのが分かる。
嫌なら手を力づくでも離せばいいのに。
こんな些細な反応が、俺のこともしかしてって期待させる。
でも。

こいつは、真選組が好きで、近藤の事気になっている。

知ってるから…だから頭の中ではこの反応、無駄な抵抗は期待していいものなのではない。
「ごめんね。もう少しこのまま…」

でも俺は好きにする
愛をそのまま伝えることにした
君が俺じゃなくて、他の奴を好きでも
今、この瞬間が


俺のもの





とりあえずこのまま

彼氏から紹介される彼氏。

2006年10月05日

俺はいつも、お登勢の説教や、坂本のおりょう先生話などを避けるために屋上に逃げ込んでいた。
屋上は授業中にたばこにうるさい生徒たちもいないし、(ぺろぺろきゃんでぃ食ってるっていってんのに)何より風が気持ちよかった。
心地よい風にあたっていると、頭がすっきりしてくるので好きだ。




ある日、屋上の鍵をかけ忘れたのを思い出した。
どうせ一服しようと思っていたのだ。
ちょうどいいとばかりに、屋上の扉をだるい体であけた。
ふと、目の前を見やると黒髪の男子生徒が入り込んでいた。
やべぇなぁばばあに怒られると頭をぼりぼりかいた。
ぼぉっとする頭で生徒を見る。

土方だ。

それに気づいたのはいいが、どう声をかけようか。
フェンスごしにはるか下にあるグラウンドの土を見つめている。
高い所すきなのかしら?

「何、君も自殺願望者?」

ぽかんと俺をみる土方がそこにはいた。
ああ、やっちゃったかな?
「来たかったから…」
だから鍵が開いていたから入ってきてしまったと。
素直で美人で…本当にカワイイなぁと思った。女の子だったらなぁ。
そんなに好きなのだろうか。怒られるのか覚悟しているだろう土方はフェンスからてこでも動かなさそうだ。
俺は屋上と書かれたキーホルダー付の2本の鍵をポケットから取り出し、片方をかちりと外して、土方に差し出した。
「じゃあ時々くれば?ここが先生に見つからない場所だからって、授業をサボるのに使わないんだったらあげる」
そのまま土方は鍵をみつめていた。
「無くすなよ。スペアそれしかないから」
そういってタバコをつけた。

土方は週に何度か屋上へ行っていた。
俺は帰る前に屋上に毎日のように足を運んだ。
土方が来ている時は、帰るのを促して帰った。
別に土方だって鍵をもっているのだからそんなことをする必要は無かったが、俺の足はいつも屋上へ向かっていた。



「せんせいー!土方君がいません!」

ある日午後の授業へいくと女顔の生徒、土方の幼馴染沖田くんが教えてくれた。
そう沖田くんがいうと隣の神楽の顔がゆがんだ。
神楽は俺に懐いている。と思う。神楽は去年からの俺の生徒だ。
去年はクラスにあまりいなかったのに今年はよく教室にいるようになった。
しかし、めずらしい。他人がいないというので顔を不安でゆがませるようになるだなんて。
「銀ちゃん土方授業でないのおかしいネ!」
「そうなの?どうでもいいけど、『先生』でしょ。せ・ん・せ・い。」
神楽の台詞にすぐさま訂正を入れる。
「銀ちゃん!」
「直す気ないよね。いいけどね。先生めげないけどね」
「探してきて!!」

神楽に廊下に押し出されて、扉をしめられてしまった。

土方がいる場所なんてお前らの方がわかるんじゃないのか。

ぼりぼりと頭をかいた。
言ったって行けと命令されるだけだ。
授業をやるより、土方を探す方が楽だ。
俺は廊下を歩き始めた。

ふらふらと廊下を徘徊した。
タバコをつけて、吸う。煙が肺に入ってくる感覚がした。
ああ、もうこっちの方が面倒くさいかも。
大体、律儀に土方なんて探しに行かずに、屋上とかでタバコふかしてるほうが俺らしいし…
今日なんてすごい いい天気だし、ばかばかしいし…
その考えに至って、少し考えた。

あいつも、もしかしたらいるのかな

屋上のドアノブをかちりとまわすと、あきらかに開いている。
きぃと静かに開けて中をのぞいた。
ああ、まっくろなやつがいる。

「土方」

土方はがばりと起き上がって驚いた顔で俺を見た。
「先生、放課後とか休み時間ならいいよって約束であげたんだけど。」
本当はサボることなんてどうでもいいのだが、一応先生でしょ。俺って。
タバコを床に落として、足でつぶした。
土方が言い訳を言ったりしてたけど、そんなのどうでもよくて早く教室に戻って欲しかった。
面倒くさい。

しゃがんで、土方と顔が近くなった。
ああ、ほんと綺麗な顔だな。
じっと見ていると、土方と視線が剥がせない。
土方が俺を見ていた。
なぜかそれだけで嬉しくなって、興奮している自分に気づいた。

「そんな見つめられると照れるんですけど?」

そう言って、土方ははっとしてうつむいた。
そんな仕草も表情もかわいいなぁと思う。
それから、土方は立ち上がって、フェンスに向かい俺にいきなりこういった。
「せんせい、俺ここから飛び降りて着地します」
頭ががつんと殴られた気がした。
平静を装ったが、それが余計に彼を煽ったようだった。
土方はフェンスを超え、何も頼りが無い場所へと降り立った。
俺は焦った。飛び降りるってどういうことか分かっているのかと。

いなくなる。
この子が俺の前から。

そう思ったら、真顔で土方にやめろと言っていた。
どんな表情か自分では分からないが、土方の顔が驚いていたので多分すごい顔だったんだと思う。
急に俺の目の前から、土方が消えたのが見えた。
フェンスをよじ登って、下を見ると土方はいなかった。
目の前が真っ暗になって、足が崩れた。

土方…!

少し角度を変えて見ると、少し床が出来ているところに土方は落ちていた。
怒鳴って土方を呼びつけ、そして抱きしめた。

華奢な体を自分の腕の中におさめると、やっと落ち着いた。
土方はずっとごめんなさい、と繰り返していた。
俺はその日腰が抜けたのだが、そのせいで土方に情けないと言われた。
笑いが半分と、恥ずかしいと思いが半分だった。


その日から土方は俺を避けた。
屋上にも来なくなったし、授業中俺をみることもなくなった。
土方が人と話すとき、相手をきちんとみているということはちゃんと知っていた。
あれから俺は土方ばかりみていたのだから。だから、おかしい。
土方に明らかに避けられている間、俺はイライラしていてみっともないくらいだ。
自分でも分かっているのだが、どうしても止まらなかった。
タバコと、チョコの量だって増えていたし、坂本に肌が良くないなんて言われたりしていた。

そんな時だ。
図書室に向かう土方を見つけたのは。
一番奥の席に座って何かを読んでいる。
俺は土方の前の席に座って驚かせてやろうと、座ると土方は本に夢中だった。
だから俺は何だか放置されたようで、イラついていじめてしまった。
そうしたら、土方はその漆黒の瞳からぱた、と真珠のような涙を流した。
死ぬかと思った。
土方があんないじわるで泣いてしまうなんて。
確かに泣かせてみたいだとか、俺がこの子の気持ちを支配できたらどんなにいいだろうって。

そう思ったけれど。

そのまま走り去る土方を俺は屋上まで追いかけて、抱きしめた。
俺が土方のこといじわるしちゃったこと謝ったら、土方は俺が怒ってたから会うのが怖いって。
それって土方。
それって俺に嫌われたくないって、そういう事だろう?

愛しくて、抱きしめる力を強めてしばらくその至福の時を楽しんだ。

それから土方は俺を避けようとはしなかったが、今度は何かを言いたそうな顔をよくするようになった。
俺はそれを促そうとはしなかった。
土方は大抵そういう時は、自分の中で整理がついていない場合が多い。
その場合、土方はきちんとそれらが整理し終わってから俺に言ってくる。
だから待っていたのだが、一向にいいに来ないので丁度土方が近藤のノートを持ってきたとき屋上に呼び出した。
仕事の切りの良い所で屋上へ向かった。
屋上では待っていた土方が眠っていて、とても理性を保つのが辛かった。
起こすとぼ~っとこちらを見ていて、かわいいと思った。
欲しい。
この子が。
そうして、俺が言いたいことがあるのではないか?と促すと、土方は「自分はもう自殺なんてしないから同情なんていらない」とか「気を使うな」と言い出した。
同情なんていらないから愛情をくれ、と言われているようだった。
土方にはきっとそんなつもりはなかったのだろうが、俺はくらりとめまいを覚えた。
無防備に差し出される小指に呪いでもかけるように俺は指切りをした。

土方は知らないだろうが、これは遊女が、この人と決めた男性に「一生あなたを愛し続けます」という意味で指を切ったりしたことのことで、指きりの時に歌う歌は、
「私は指を切ってまであなたへの愛を誓ったのよ
だから、裏切ったりしたら一万回殴って、針も千本飲ましてやる
だから私を裏切ったりしないで 必ず私を外の世界に連れて行ってね」
という、遊女の歌なのだ。

本当はそんな軽々しく小指なんて差し出すものじゃない。
約束はとても、とても重たいものなのだよ。
なぁ、土方。

これは愛の証だと言うと、土方はぽかんとした顔で俺をみた。

さぁ、土方。覚悟しとけよ。
俺はお前を外の世界に連れてゆくよ。
裏切ったりなんてしない。
むしろするかもしれないのは お前。
他の男と関係をもつ、罪作りな遊女。

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