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2025年05月08日
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joke 03 指きりげんまん針千本。(銀土)

2006年08月30日

小指とは約束をするときに使うものだと、こちらに来てから誰かに教わった。
私の故郷にそのような まじないは、なかったように思う。

最近、土方がおかしい。
そう思ったのはつい何週か前の話。
ずいぶん前は、授業を真面目に受けていた土方がさぼり、どこかに行っていた。
(その時は具合が悪いのかと心配していたが、隣の席のS王子が それなら絶対意地でも授業を受けて皆に迷惑をかけているはずだと、紙飛行機を私にぶつけながら言った。)
そして授業に出てきたと思ったら真剣にノートだけをとっていた。
(それは当然いつものことなのだが、なぜか先生の話は聞いてなかったように思う)
最近に至っては、どこか暗く思いつめた様子だった。

「なぁ総悟。お前なんか知らないのか?」
「なんですかィあのマヨ人間の事か」
「あのニコ中のことヨ」
「それお前原作設定だろうが。これは3Z設定だろ~ちゃんとキャラ立てろィ」
「うるせェエエエエエエエエ!!!」

神楽のちゃぶ台返しがクラス全体に被害を加え、二人はお妙に説教をくらった。

「…話を戻すネ。土方。あいつ最近浮かない顔。心配ヨ」
「お前ホント土方さん好きな。」
目の前の茶髪の女顔(私よりかわいいんじゃないか…認めないけどな)の男、沖田総悟がため息をついて私を見た。
「土方優しいから好きヨ」
にこ、と笑って、マヨネーズはいけ好かないがな、と付け加えた。
沖田は そうですか とだけ言って黙った。
「何か聞いてないアルか?」
「聞いちゃいないが、きっとありゃあ恋煩いでさァ」

こいわずらい?

「土方さんは恋で悩んでるんでさァ」
そういう沖田をじっとみつめて、それはそんなに悩むものなのかと問うた。
土方さんはね、と意味深な言葉を沖田はこぼす。
「中学校の時にある女に惚れて、土方さんはずいぶん胸を痛めてた。こっちがどうにかなりそうなほどにな」
「それ今と同じネ」
ぱちくりと神楽は沖田の話を聞いてメモを取り始めた。
「でもあの人はそれを自分で自覚していない場合が多いんでさァ」
まるで記者にインタビューでもされているような風に沖田はふんぞりかえった。
ふんふんそれで?と神楽も乗り気。

「おめぇら…何好き勝手な事いってやがる…」


沖田の背後には鬼がいた。
神楽はその形相にビックリしてひく、と顔をひきつらせた。
「ひ、土方…!今までどこいってたカ?」
神楽の質問に土方はびたっと静止して、沖田を殴ろうとしていたのも忘れたように神楽の方を見た。
「べ、便所。」
「へぇ~あんた今の今までそんなに頑張ったんですかィ~いや~すげぇなぁ」
沖田はそういった瞬間に鉄拳を受けた。
「お前マジ死んで来い!」
土方どうどう…神楽は土方をなだめる。

「心中立てでもしてきたのかぃ?」
「シンジュウダテ?」
「愛の証でさァ」
「ほ~」

「勝手に俺抜きで話をすすめるなっ…!!!!!」

土方は顔を真っ赤にして叫んだ。
熱でもあるのか?と思ったがどうやら違うらしい。
「ほんとカ?土方…」
「…………」
ぐ、と土方は言葉を失ったように黙った。
顔は羞恥心でいっぱいのような顔をうつしていた。

自分たちはまだ知らない。
この黒髪の男がどのような思いでいたかなど。
知る由も無かった。

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「指切り」とは、小指の先を切ること。

かつては、男女の仲で愛の証として特に遊女が実際に小指の先を切って男性に贈ることもあった。

「拳万」とは、拳骨(パンチ)一万回打たれること。

「針千本」針を千本飲ますこと。

ということで、子供が軽々しく口にするには重過ぎる内容だったのだ。

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